こんにちは。 歯科医師の折原です。
今回は噛みしめについてお話します。
噛みしめと聞いてみなさんふと思い当たる節がある方が多いのではないでしょうか。
噛みしめ、食いしばりを過剰にしてしまうことによって知覚過敏、歯の破折、顎関節症がおこります。
冷たいものや熱いものを食べるとき歯が染みる、また噛み締めると変な感じがすることを主訴に来院される患者様がいらっしゃいます。歯茎が下がっていて、歯の根が露出していてその部分が染みていれば、これは知覚過敏症です。歯の一部が楔状に磨り減ったようになくなっています。以前はこのような症状は歯ブラシのかけすぎ(特にスクラビング法などの横磨き)によって起こるとされていました。しかし近年知覚過敏の最も大きな原因は 歯を常に接触させている癖であることがわかってきました。これが進むと歯の亀裂や破折そして顎関節痛が起こります。
噛み締め、食いしばりというと思いっきり歯を食いしばるように思いますが、軽く歯を接触させているだけで歯には相当力が加わっています。これをTCHといいます。TCH(Tooth Contact Habit =上下の歯を接触させている癖)
日常においてストレスが増え精神が緊張したとき、人は歯を上下の歯を接触させます。これは96%以上の人がやっていることで、ごく普通のことです。しかしその時間が長かったり、歯を接触させる力が強いと色々な障害が出てきます。つまり過剰なことが良くないのです。
自分のお口の中を見てみるとこのようなものが見えませんか?
1.口腔内の頬に歯のならびに沿った白い線がある
2.舌が下顎の歯の形に沿って波をうつように変形している
3. 下の前歯の裏側の骨を触るとボコっと出ている
4.体をまっすぐにしてもらい、目を閉じていただきます。そのとき上下の歯が接触していますか?
ほとんどのケースで患者様にTCHの自覚はありません。上記のようなはっきりした症状があるにもかかわらず「私は絶対にそんなことはやっていない」といわれることもあります。無意識でやっていることを止めるのは非常に困難なことです。
まず患者様に噛み締めを気付いていただきます。そしてそれを1日10分でも良いので止めるように努力してもらいます。気付くようになったら徐々にその時間を長くしてもらいます
普段かかせないスマホも脳を興奮させてしまい、寝てる間に歯ぎしりなどを誘発する原因に大きくなります。そのため寝る30分まえはスマホを見るのをやめ部屋を薄暗くしリラックスした状態で睡眠に入ることが良いです。噛みしめないぞ!と自己暗示によって治すようにすることも一つです。
ナイトガードも一つの手段です。ただ睡眠中にマウスガードをいれても歯ぎしりや食いしばりはなおりません。ただ歯の保護にはなります。昼間はあくまで自分で気づいて防ぐこと、夜はナイトガードなどで歯を守ってあげることが良いです。最近ではボトックス注射も一つ手段として活用されています。
噛みしめは歯が痛いから治療したら治るという単純なものではなく、これらの方法もどれも根本的な解決にはいたりません。環境や仕事色々な原因があるためそれらのストレスと上手く向き合い生活していくことが必要なのです