当院の虫歯治療について
当院では虫歯治療について「むやみに削らない」ことを大事にしています。
虫歯治療というのは、虫歯になった部分が自分の歯で修復されるのではなく、 「人工のものに置き換える」治療です。
一度削ればもう自分の歯で補うことはできません。 いかに素晴らしい治療ができたとしても、 人工の歯は真の歯にはどうしても及ばないところがあります。
そのため、できるだけ削らない。
さらには削る必要がある場合でも、最小限にとどめることを大切に治療しています。
歯を削らない大切さ
歯を削らない大切さ
歯は、一度でも削ってしまうと「負の連鎖」に入り込んでしまいます。
その連鎖の中で歯は3回死んでしまうといわれています。
① 歯を削る(最初の死)
② 詰め物を入れて治療する
③ 詰め物の下に虫歯(2次カリエス)ができる
④ 虫歯をとって詰め直す
⑤ ③④を繰り返す
⑥ 歯が折れる、根っこの先に膿の袋ができる
⑦ 歯を抜く(最後の死)
一回削ってしまった歯はこのように少しづづ崩壊していき、 もう二度と戻ってはきません。
そのため、まずこの「負の連鎖に入れないこと」、 つまり「歯を削らないこと」「最初の死」を迎えないことが 重要になってきます。
そして、もし入ってしまったら、 いかにこの「連鎖を遅らせるか」を考えていきます。
神経をとらないために、さらに最後の砦である抜歯をしないために、精度の高い治療(精密歯科診療)を行っていきます。
虫歯の進行について
虫歯は通常、程度によってC0~C4に分類されます
C1 歯の表面
(エナメル質)の虫歯
痛みはありませんが、しっかり管理していないと、虫歯が悪化してしまう状態です。
この段階の虫歯は主に経過を見て、これ以上進行しないようにしていくのが基本ですが、 治療が必要な場合はここでむやみに歯を削ってしまわないことが最も重要です。 しかし、場合によってはエナメル質を一層削りchevron_right主にコンポジットレジンというプラスチック系の材料を詰めて治します。
C2 歯の中
(象牙質)の虫歯
冷たいものや甘いものを食べたり、飲んだりしたときに、しみたり、痛んだりする段階です。 治療は虫歯の部分を削り、主に部分的なchevron_right詰め物(インレー)で保護します。
navigate_next詰め物についてC3 神経まで進行した
虫歯
この段階までくると、激しい痛みを感じる場合があります。
この段階では神経をとる治療が必要となります。しかし、当院ではchevron_rightMTAセメントという、 歯の神経を守る効果の高い薬を使うなどして、極力神経を残していきます。神経の治療をした場合は、全体的なchevron_rightかぶせ物(クラウン)を装着するのが一般的です。
C4 歯の根まで進行した
虫歯
歯の根まで虫歯が進行すると、化膿して膿がたまったりします。
最悪の場合、抜歯が必要となります。
抜歯後の選択肢としてはchevron_right入れ歯、chevron_rightインプラントなどがあります。
虫歯治療フローチャート
パルプキャッピング
「MTAセメント」 による神経保護
虫歯が深く進行してしまい、神経の部屋まで進んでしまった (chevron_rightC3の状態まで行ってしまった)際に、 歯医者さんに「神経を取りましょう」と言われて、 神経を取ってしまった経験のある方も多いのではないかと思います。
歯というのは神経を取ってしまうともう二度と再生しませんし、 神経を取ってしまった歯の寿命は極端に短くなってしまいます。
なのでいかに神経を取らずに治療を行うが大事になってきます。
当院ではここまで深くなってしまった虫歯に MTAセメントという特別な薬剤を用いパルプキャッピングという治療をしていきます。
神経を守る治療(パルプキャッピング)
この治療はchevron_rightC3の状態まで行ってしまった深い虫歯があった場合に、虫歯と、細菌に侵された神経のみを除去し、歯の中に残った神経を保護して機能を守る治療法です。
パルプキャッピングの手順
① 歯に唾液などの感染物が入らない環境を作る |
② 完全に虫歯と感染物を取り切る |
③ カルシウムのお薬でその部位を封鎖する |
④ さらに周りから汚れが入らないように完全に封鎖する arrow_forward2ヶ月〜3ヶ月様子をみる。 |
⑤ 神経と薬の間に新しい歯の組織が再生されたのを確認する |
⑥ 最終的な被せ物、詰め物を入れていく |
これで歯の神経は取らずに守られます。
少し治療時間は長く感じるかも知れませんが歯の神経は一回取ってしまったら二度と戻ってこない組織なので、自分の歯で一生噛みたいとお考えの方には有効な治療法ではないかと思います。
論文のデータでは成功率はだいたい80パーセントくらいと言われています。
ただ、もしうまく保存出来なかったとしても通常の根っこの治療に移行するだけですので受け入れやすいのではないでしょうか?
アメリカではこのパルプキャッピングのみを専門とするドクターもいるくらい高い技術を必要とする治療法ですのであまり日本ではまだ行っている歯科医が少ないのが現状かと思います。
歯の神経を守り、一生自分の歯で噛みたいとお考えの方は是非一度ご相談下さい。
MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントとは?
MTAセメントの特徴としてあげられる、
・強いアルカリ殺菌性
・緊密な封鎖性
・体に馴染みやすい生体親和性
によって、穴の空いた歯を埋めたり、ひびの入った歯を接着したりと、 歯を再生させたりすることのできる新しい薬です。
MTAセメントで保護することによって、歯の神経を残す治療を行っていきます。